学会長挨拶

会長就任のご挨拶

 先の選挙にて学会長に選出いただきました,福岡教育大学の平尾健二と申します。上地由朗前会長の後を引き継ぎ,今年度より2年間,役員・委員の先生方とともに,微力ながら全力で学会の運営にあたる所存です。ご支援・ご協力のほど,お願い申し上げます。

 さて,選挙期間が年度を跨いだことにより,4月上旬より早急に新体制の構築を進めることになりました。新年度を不安な中で迎えましたが,役員・委員のみなさまにおかれましては,就任をご快諾いただき,心より深く感謝申し上げます。今年度で61年を迎える本学会は,常にそのような学会員の「協力的な姿勢」に支えられ,これまでの歴史を築いてきたのだと痛感しております。

 新執行部では,筆頭副会長(意見文コンクール担当)として小池安比古先生,前々執行部から引き続き副会長(広報担当)として三島孔明先生,副会長(栽培・飼育教材開発コンクール担当)として井上博茂先生にご就任いただきました。編集委員会委員長を藤井道彦先生,男女共同参画推進委員会委員長を浅野陽樹先生にお願いしました。昨今の社会情勢等に合わせながら,編集委員会には学会誌のオープンアクセス化を,男女共同参画推進委員会には三島副会長とともに発展的に学会・農業教育の将来を構想する組織へのバージョンアップを検討いただきたいと考えております。また,事務局として安部由香子先生には庶務幹事,實野雅太先生には引き続き会計幹事をお願いしました。若手のフレッシュな先生方に事務局を運営いただけること,たいへんうれしく感じております。監査につきましては勝川健三先生ならびに豊原憲子先生にお引き受けいただきました。役員のみなさま,どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今年度の講演会につきましては,田中大介先生にご準備いただき,8月末に茨城県つくばでの開催を予定しております。多くのご参加を賜り,研究成果の発表をもとにいろいろなディスカッション,情報交換が進むことを期待しております。

 さて,本学会は,「農業教育」を共通のキーワードとして,幼・小・中・高・特支の教育現場,農学系の大学,教育学系の大学,公的研究機関,民間企業など,多種多様な分野の方々が集う学会であり,研究の範疇となるテーマも限りなく広いのが特徴です。しかしながら,そもそも「農業教育」とは何か,「農」の持つ学術的・教育的意味とは何かということに対する学会としての総意が不鮮明になっているように私自身感じてきました。このような中で,本学会のあるべき姿,アイデンティティについて改めて議論する場をもつ必要があると考えております。

 「農学栄えて農業滅ぶ」は,農学者の横井時敬先生が遺された名言ですが,最先端の微視的なサイエンスがもてはやされ,農業を知る教育,動植物を育てる教育がなおざりになっている今,本学会の存在意義はさらに強く大きくなっていると感じています。日本の農業を滅ぼさないための手立ての一つは,農業を大切にする子どもや大人を育てることであろうと考えます。一方で,昨今の米不足,米価高騰もあり,人々の食や農に対する関心は否が応でも高まっております。これらに対して本学会ができることを,学会員のみなさまと考え,実践していきたいと考えております。

  令和 7年 5月
  日本農業教育学会 会長  平尾 健二